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白豪主義復活?
”ハンソン発言に揺れ動く豪州社会”
オーストラリアはまた、白豪主義に戻るのか?このような噂が最近まことしやかに囁かれている。事の発端はある地方選出女性下院議員が去年の
9月に行った議会演説だった。女性議員の名はポーリン・ハンソン。クイーンズランド州オックスリー地区選出の元フィッシュ&チップス屋
店主である。以前より人種差別主義者と言われてきたハンソン議員は、ここでも、先住民への福祉のカットや、アジア人の移住受け入れ停止
などを訴えている。
演説の問題部分を要約すると、「現在我々主流たるオーストラリア人は、先住民や、他文化主義者、その他の少数民族代表らによって、 逆差別の場に立たされようとしている。現在の政府は、土地やお金、施設など、先住民にばかり与えていて、今や、特権を与えられた 先住民達がその他のオーストラリア人の犠牲の下に楽しんでいる。我々が平和と調和と結束を維持するためには、ひとつの旗の下、ひとつの 国家、ひとつの民衆でなければならない。私を含めた多くのオーストラリア人は、現在政府が採っている多文化主義は直ちに廃止すべきだと 考えている。今や我々はアジア人に飲み込まれる危機に瀕している。1984年から1995年にかけての移住者の40%はアジア国籍である。 彼らは自身の文化、宗教を持ち、居住区を形成して国に同化しようとはしない。多民族国家が強い結束を持った例はなく、アイルランド、 ボスニア、アフリカなどは悲惨な現実である。」さらに、終戦直後移民大臣を務めていたアーサー・カルウェルのスピーチを引用して 「日本、インド、ビルマ、セイロン、そして全てのアフリカ人たちは猛烈に白人を嫌い、お互いを嫌い合っている。我々はこれらの人々を この国に欲しいと思うか?私は一人の純血のオーストラリア人として、90%のオーストラリア人を代表して”No!”と言う。私は なんのためらいもなくこの言葉に呼応する。」 と言い放った。 この演説は多くのアジア系移民や、先住民達からの反感を買ったものの、当初は一議員の妄言に過ぎないと思われた。しかし、その後の 世論調査で、10%近い有権者がハンソン議員の意見を支持しているという結果が現れ、今まで水面下でくすぶり続けてきた潜在的白豪主 義が、ここにきて露呈する形となった。 現在オーストラリアは、多くの異民族を受け入れる寛大な国としてのイメージが強いが、実際に多文化主義をとり始めてからの歴史は きわめて短い。わずか24年前の1973年まで、オーストラリアに幸福な社会を形成できるのは、白人種のみであるとする考え方に則った 移民政策が採られ、あの悪名高き南アフリカの、アパルトヘイトのモデルにもなった白豪主義が横行していた。 1973年の移民政策の180度の転換の後、多文化主義を現実のものとして受け入れることを余儀なくされた都市部では、次第に白豪主義 は薄れていったものの、アジア人種が少数派である、カントリーサイドの保守的地域では、未だアジア人に対する偏見が根強く残っている。 また都市部に於いても、表面には出さないものの、潜在的には白豪主義である人々が存在することは否定できない。 その後、世論調査の結果に気をよくしたハンソン議員は今年3月、自らの名を冠した政党、 ”ポーリン・ハンソン・ワン・ネーション(ひとつの国家)党”を旗揚げした。ニュースポール社による世論調査によれば、ワンネーション党への 支持率は、全国レベルで4%を獲得。また、モーガンギャロップ社の調査では10%、さらにAGBマクネア社の調査では25%と、極めて高い 支持を得ている。 ハンソン議員がこれだけ高い支持を得る背景に、昨今の先住民の土地帰属権に関する問題で、多くの農場主が危機感を抱いていること。 そして、無条件に近い家族呼び寄せ移住政策によって膨れ上がった、ベトナムやカンボジア等の難民系移民が、失業率増加の一因になっている という事実があるのは否めない。しかしアジア諸国の投資面等の参入が、この国の経済を支えていることもまた事実である。 ハンソン議員は政党の旗揚げ後も、「先住民達は19世紀に人肉を食していた」「アジアからの投資を一切禁止すべきだ」といった、妄言を 繰り返し、国の内外で大きな波紋を呼んでいる。ハンソン議員の全国遊説では、行く先々で支持派と反対派の衝突が見られ、戦々恐々と した雰囲気になりつつある。 特にインドネシアをはじめとしたアジア近隣諸国の反応はきわめて批判的で、ポール・キーティング前首相時代から引き継がれてきた アジア諸国との経済政策に、大きな影響を与えかねない状況となっている。今後の展開次第ではマレーシアのマハティール首相の声の下、 アジア諸国のシドニーオリンピック、ボイコットも現実のものとなりかねず、オーストラリア政府は、ハンソン議員の姿勢を強く非難し ている。また、国内においても最近増加を得つつある、アジア諸国からの観光客への悪影響を懸念する声が出始めている。 ハンソン議員は最近では「キリスト教信者は他の宗教信者よりも優先されるべき」とする、政治的タブーとも言われた問題に触れ、 党内支持者の間でも、若干あきれ気味のムードが漂いつつある。そして7月には大物候補と言われる、労働党のウェイン・ゴス前QLD州首相 が次期選挙で、ハンソン議員の地元オックスリー選挙区からの出馬を表明し、ハンソン議員の同地区での当選は絶望的との見方が高まっている。 これによってハンソン議員は他の下院選挙区か上院への鞍替えを余儀なくされることとなり、現在の情報ではブレアー下院選挙区での 出馬の可能性が濃厚である。 ハンソン議員の当選後、アジア人が差別、暴行に遭ったという公式の訴えが当選前よりも、2倍に膨れ上がったという報告もあり、 今後、人種差別主義の台頭が危ぶまれている。
ヘロイン合法化論争激化(1997年8月21日) NSW州、マリファナの規制緩和へ (1997年7月20日) 何故詩人は殺人者に (1997年7月7日) ある少女の死 (1997年6月22日) Copyright jtech Media Services Pty Ltd 1997 |