白豪主義再び!!

”ポーリン・ハンソン、ワンネーションQLD州選挙で25%を得票”



オーストラリア白豪主義への逆行は、いよいよ真実味を持ってきたと言わざるを得ない。以前にも取り上げたアジア人の移民削減、 アボリジニへの補助金の削除を公約とする、ポーリン・ハンソン率いるワンネーション党が先頃行われたクイーンズランド州選挙で 25%近い得票率を得たのである。これによってワンネーション党は10以上の議席を得ることになる。

ワンネーション党の主な公約を簡単に列挙すると

   アジアからの移民を厳しく制限する

   アジアからの投資を禁止する

   アボリジニへの保護政策を廃止する

   農民のための銀行を作り、2%の低金利で融資を行う
   (資本金は増刷によってまかなう)

   銃規制を撤廃する

ハンソン女史によれば、1950年代の古き、良きオーストラリアへ戻ろうというわけである。新規参入政党としては、 万人向けの公約よりむしろ、特定のグループを狙ったものの方が支持を得やすいという、作戦が功を奏した訳だ。

ワンネーションがターゲットにしているのは明らかに、カントリーサイドに住む農民達である。確かに農業を営んでいる上では、海外企業との 経済的なつながりなどは実感としてないであろう。むしろ、アジアからの農作物の輸入が、国内生産物の需要低下につながっていると言われれば 納得してしまうわけである。実際そういった地域に住むアジア人は極めて少なく、彼らは姿無き侵略者を恐れている(むろんワンネーションが あおったわけだが)といったところだろうか。

また土地帰属権問題に関して、自らの農地がいつ、その対象とされるかも知れないという恐れが、アボリジニ保護政策廃止の支持へとつながった。

しかし、今回の選挙の大勝は、その寸前に掲げられた、銃規制の撤廃の公約によるところが大きい。選挙前の世論調査でもこの公約が出さ れる以前は、さほど大きな支持は得ていなかった。ところがこの公約が出されると、国民党の支持者であった農民達が一気にワンネーションに 流れていったのである。元々ハワード政権が制定した銃規制を、与党である国民党が否定するわけにもいかない。ワンネーションにしてみれば 過半数は得られないにしても、一定の支持は確実に得られる切り札ともなったわけだ。

最終的に89の議席のうち、労働党44議席、自由、国民連立保守連合がそれぞれ9、23の合計32議席、ワンネーション11議席、無所属 2議席で、過半数議席を満たす政党がなく、ワンネーションが与党連携を模索する可能性が危ぶまれた。結果、労働党が無所属議員の協力 を得て、2年ぶりに同州与党に返り咲くことで、最悪の事態?!は避けられた。

慌てたのは大きく支持者を奪われた国民党と、連立をとっている自由党である。間もなく行われるNSW州選挙でも、ワンネーションに脅かされる 可能性は大きいため、カントリーサイドを中心とした、講演を行い、支持者の呼び戻しに必死である。

経済界でもこういった傾向が、アジアからの投資者や、クライアントに与える影響を懸念する声が高まっている。その良い例として、 カンタス航空が、インフライト・ニュースを提供しているチャンネル9に、アジア線用のニュースから、ポーリン・ハンソンに関するニュースを カットしてくれるよう、要請するという事態も起きた。結局チャンネル9側はこれを拒否し、ニュースはそのまま流れることになったが、 ワンネーションの影響力を象徴する形となった。

笑いが止まらないのはポーリン・ハンソン議員。メディアに現れない日は無いといって良いほどで、これが逆に彼女の宣伝効果になっているとの 声も出ている。先頃ハワード首相は、「ワンネーションの躍進は終息に向かっている」とのコメントを発表したが、これはむしろそういった 印象を植え付けるための、苦肉の策ではないかと受け止められる。

いずれにしても、クイーンズランド州住民の4分の1が、アンチ・アジアを公約とする政党を支持しているとなると、我々日本人としても 心中穏やかではない。ここは、良識あるオーストラリアの人々の、冷静に世界を見つめた、前向きな態度を期待するよりほかないだろう。


(1998年6月30日)


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